ジャパントリップ〜夢の実現まであと少し〜 

「ハーバード公衆衛生大学院はハーバードの数ある大学院の中で、2番目に貧乏だ」−ハーバード内にはそんな噂があります。これは卒業生の年収ランキングに基づくものらしいのですが、学校の規模や施設内設備、企業や財団から学校へのサポート、学校から学生組織に対するサポート等を比較すると、まんざら嘘でもないような気もします。そんな「貧乏ランキング」を反映してか、公衆衛生大学院に在籍する日本人の多くは、至って質素で、そしてちょっぴり貧乏っ気を漂わせています。勤務先や各種財団からサポートをもらいつつも、足りない部分は自費で賄いながら、精一杯のやりくりをして生活をしています。華やかさは微塵も感じられません。

そんな私たちのジャパントリップは、質素な日本人学生が僅かながらのお金を出し合い、そして授業の合間を縫って作り上げてきたものです。毎週の宿題と毎月の試験に追われながら、朝から晩まで勉強会に励み、語学のハンディをカバーすべく睡眠時間を削る…公衆衛生大学院の生活は、まさに「死にもの狂い」の毎日です。そんな中、ジャパントリップの説明会に趣向を凝らし、日本でのアポとりのために何十通もメールを打ち、ポスターやwebページを手作りし、英語チェックをしてもらった外国人の友人たちには日本料理を振舞う…手作り感あふれるジャパントリップの準備と私たちの身を張っての努力に、今学内では確実に日本ファンが増えています。「東京」についてひっきりなしに質問してくる学生、日本人を見つけると「コンニチハ」と駆け寄ってくる学生…。日本を伝えようという想いから作られたジャパントリップの実現まで、あと一歩まできました。

しかし、あと一歩のところで、ジャパントリップは大きな財政的問題に直面しています。より充実させようと思い作り始めた参加者に対する事前勉強会の資料費や講演会などでの謝礼、初めての取り組みだけに日本との連絡調整にかかる費用など、ジャパントリップのロジスティックス全体にかかる費用が発生し始めたのです。たしかに想定済みのコストではありましたが、増えていく日本ファンと高まる期待に応えるべく、よりよいものを作ろうとすればさらにお金がかかります…。外国人学生たちも、所詮、公衆衛生学部の「貧乏な」学生たち。「日本を知りたい」という想いを胸に、僅かな貯金をはたいて2500ドルもの参加費を払っているため、これ以上の出費は避けたいところです…。外国人と同じだけ旅費を払って、ジャパントリップを作り上げている私たちにはそれも厳しいのも事実です。コスト削減にも限度があり、今までのように質素倹約を心がけてきた私たちにも、もうなす術はあまりありません…。

2年前、ジャパントリップはただの夢物語に過ぎませんでした。私たちにはそんな時間も余裕もお金も、そしてジャパントリップを動かすほどの「想い」も何も持っていませんでした。でも今、それは現実のものになろうとしています。このジャパントリップを通じて、将来世界の公衆衛生分野のリーダーとなる外国人学生たちに日本を「伝える」だけではなく、彼ら/彼女らと共に日本の保健医療システム、そして世界の保健医療システムに何らかのインパクトを与えられたら…私たちのそんな想いをサポートしてくれる皆様のご協力をお願いできたらと思っています。夢のジャパントリップの実現まで、あと少しなのです。

ご協力をよろしくお願いいたします。

大谷 彩子(国際保健専攻・修士2年)



大谷 彩子
(国際保健専攻/
Japan Trip 副委員長)